浅川マキさん、柴田徹さん(マキさんのライブのPA担当)が企画してはじまった小松市民ホールでの「詩とジャズの会」、正しくはなんといったか忘れたけれど、年に一度あって、その何度目かに出演したとき(1998年秋)の川端民生さんとのduoがこのアルバムです。前後2、3日、市の外れにある廃校の一室をスタジオに改装したところで、コンサートで朗読する詩人と打ち合わせ、空いた時間は川端民生さんと録音したりの(いま考えれば)楽しい日々だった。
その企画も終わり、廃校のスタジオもなくなり、川端さん、柴田さん、マキさんもいなくなって残ったのがこの音源で、柴田さんがまだ元気だった頃、送ってくれたものだ。あるとき、ずっと棚に置いてあったそれを聴いてみたらすごくいい、なぜみんな元気なときにすぐアルバムにしなかったんだろうと思った。いや、2011年に一度CD化した、それが100枚くらい組み立てたところで(その頃は自分たちでそうしていた)信じられないことにCDの盤だけが行方不明になってしまったのだ。で、また作った。
この「蝶々在中」という不思議なタイトルは、ジャケットの画を描いてくれたSALさんに「もうひとつ、蝶々を描いてください」とお願いして、送ってもらったその封筒に「蝶々在中」と書いてあったのが美しくて、見た瞬間、これをアルバムのタイトルにしようと思った。
ライナーノーツを書いてくれた奥成達さんはこのコンサートのもう一人の立役者で、はじめて会ったのは’72年の日本歌謡祭。そのとき三上寛さんと「真昼の妊娠3ヶ月」という歌を作って参加していて、寛さんが奥成さんを招待して、そこで紹介してもらった。オーケストラのライナーノーツも書いてもらったし、武田和命さんの追悼ライブでは感動的な文章を読んでくれた。
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