シブヤシゲヨシさんいついて(1)(2)

おめでとうございます。
昔の(でもないけど)blogを見ていたら、2010年にシブヤシゲヨシさんについて書いてあるのがあった。なつかしいのでここに再掲します。

●シブヤシゲヨシさんについて(1)
2010/01/11 月曜日 – 13:23:26 by tshibuya

シブヤシゲヨシさんは北海道伊達市に住んでいた。もうずいぶん前に亡くなったのだけれど、このところどういうわけか頻りに思い出されてならない。はじめて伊達に行ったとき、そのときは大雪で札幌からの列車が遅れに遅れて、伊達に着いたときはもう夜の11時過ぎ、その日やるはずだった「イット」というジャズ喫茶でのレコードコンサートなどどこかに行ってしまった。もう時効だからいいと思うけれど、そのときはトリオレコードの伊藤さんと悠雅彦さんがいっしょで、それが理由はわからないけれど店主の大木さんと険悪な感じになって、伊藤さんと悠さんは怒ってどこかに行ってしまった。こちらはどこかに行く理由がないからずっと店に残ってその日は大木さんのところへ泊まった。
翌日洞爺湖温泉などに行って楽しく過ごし、翌々日だったか、面白いところがあるから行こう、と、連れて行かれたのがシブヤシゲヨシさんのところだった。
そのころシゲヨシさんは言葉の研究をしていて、確か「五十音感情の正体」という本を上梓したころで、これは簡単にいえば、五十音のひとつひとつには感情がある、という理論で、それを細かく説明し、さらにはそれを記号化したもので、シゲヨシさんはそれについてとても熱心に話してくれたのだけれど、ぼくには少々難解、というよりわけがわからず狐に化かされたような気分だった。そのとき、この本の前に出した北海道の物産を紹介した小冊子も見せてもらったけれど、これは、例えばカニについてカニという音が持つ感情でカニを紹介するといったもので、こちらの方がわかりやすく面白かった。
そうしてシゲヨシさんと知り合って、伊達に行けば必ずシゲヨシさんのところにお邪魔するようになった。
1977、8年のことだ。

追記
最近知ったシブヤシゲヨシさんに関するサイト

●シブヤシゲヨシさんについて(2)
2010/01/12 火曜日 – 15:22:15 by tshibuya

伊達には年に1回は行っていた。だからシゲヨシさんのところにも年に1回は行っていたことになる。記憶がごちゃごちゃになっていて、どれがどれ、いつがいつだかわからなくなっているけれど、何回目かにお邪魔したとき、早速部屋に通されて、これを食べなさい、と山盛りのゆでたじゃがいもを出してくれた。今日の食事はこれだ、といっていたような気がする。もし、とうもろこしの季節ならそれがその日の食事になるのだろう、そんなことにわけもなく感動してかしこまっていると、壁に貼ってあるたくさんの絵が眼に入る。子供が遊びで描いたような絵だ。
「これはお孫さんが描いたんですか」
「いや、オレが描いたんだ。オレのいってることがみんなにわかるように絵にしてみたんだ。アハハ」
このときくらいびっくりしたことはない。このおじいさんのこの元気はどこから出てくるんだろう。(月並みな言葉でいえば)背中をドンとどやされたような気がして帰り道は地に足が着いてなかったような気がする。
その絵はいまぼくの手元にある。ずっとあとになってまるで形見分けのように送ってくれたものだ。この絵をジャケットに使ってピアノソロのアルバムを作りたいと思った。いや、いまでもそう思っているのだけれど、まだできない。機が熟さないとでもいうのか。
伊達ではたくさんの人に出会った。大木徳一さんはじめ伊達ジャズクラブのみんな、佐藤良幸さん、荒井修さん、いまは函館にいる柴山勝さん。佐藤さんの家はシゲヨシさんの家のすぐ近くで、だからいまでも佐藤さんの家に行けばシゲヨシさんの家も見ることになる。古い茅葺きの家はまだあったような気がする。

追記(2019/1/1)
送って頂いた絵の一枚は津上研太とのアルバム「無銭優雅」に使わせていただきました。

2 Responses
E-Shibuya : 2010/01/12 – 18:52:59 –
父の思い出をありがとうございます。
伊達へは今も時々行かれているのでしょうか?
父が石を並べていた古い茅葺の母屋は今でもそのままになっています。
石は片付けてしまいましたが・・・・。
父が残した著書やガラクタなどの整理に一度伊達に行かねばと思っているのですが、なかなか実行できずにおります。

tshibuya : 2010/01/13 – 12:58:21 –
E-SHIBUYAさん、コメントありがとうございます。渋谷さんに渋谷さんというと(またその逆も)なんだか親戚のような感じがします。そうそう、シゲヨシさんは渋谷くんと呼んでくれてました。
E-SHIBUYAさんのお宅には(それが埼玉県K市ならば)シゲヨシさんが上京したおり、一度うかがったことがあります。E-SHIBUYAさんにはお会いできませんでしたが。またこれもずいぶん前の話ですが、シゲヨシさんの研究について週刊誌に投稿されていたのもE-SHIBUYAさんだったんじゃないでしょうか。
伊達にはいまは2年に一回くらいでしょうか。演奏で行くこともありますし遊びに行くこともあります。