昔のアルバム(1977録音だ)が再発されるのはうれしいけれどなんだか複雑な気分になる。もうそんなに時間が経ったか。
中山信一郎さんが最初のアルバム「dream」を作ってくれた一年半くらい後だったか、この二枚目のアルバムを作ってくれたのはいま考えると大事件だった。なにしろピアノは10年近く弾いていなかったから指は動かないし曲は忘れてるしで、二枚目など思ってもいなかった。しかし、この一年半の間に川端民生さんと知り合い、亡くなるまでいっしょに演奏したのだから、それだけでも事件で、このアルバムを録音するチャンスがなかったらいまピアノを弾いていることもなかったと思う。だから、このアルバムはまたピアノを弾きはじめた記念碑とでもいっていいもので、それからの年月はピアノを止める前よりもずっと長くなった。長くなっただけでピアノはまったく上手くなっていないけれど、それももう気にならなくなった。いままでこうやって過ごしてきたのだ、これからもこのままでいいではないか。
オリジナルのライナーノートは青木和富さんに書いてもらった。いま読むとその頃の暮らしぶりが思い出されてなつかしい。そうそう、このトリオ(川端民生、宮沢昭一)ではよく旅もしたし、酒井俊のファーストアルバムも録音した。
Nadja 1977年4月27日、28日録音