クロード・ソーンヒル

つい先日、ライブにきてくれたお客さんからクロード・ソーンヒルのLPを頂いた。クロード・ソーンヒル楽団は第二次世界大戦前後に活躍したダンスバンドで、ダンスバンドとしては類をみない、とんでもなく上品な音楽を演奏していた。
ソーンヒルの名前を知ったのは彼がギル・エバンスやジェリー・マリガンのアレンジを採用していたという話を聞いたからで、それが聴きたくてソーンヒルのアルバムを片っ端から買ったのだ(二十歳の頃だったか)。もちろん中古で、その頃は10インチ盤のLPだった。ギルのアレンジの中ではラ・パロマ、ポルカ・ドッズ・ムーンビームスなどが名アレンジで、また、パーカーの曲も何曲かアレンジしていた。
頂いた盤は10インチのはじめて見るもので、いつもの大きな編成ではなく、ピアノにリズムセクションというシンプルな編成だ。いい忘れたけれど、ソーンヒルのピアノはほんとに素晴らしく、ああいうピアノを弾く人がいたらどこにでも飛んで聴きに行きたいものだ。いや、頂いたアルバムはまだ聴いていないのだけれど、あのソーンヒル楽団のテーマSnowfallのような美しいピアノがまた聴けると思うとぞくぞくしてくる。

追記:ギル・エバンスについては瀬川正久さんの書いたものがここにあります。

京都in京都(5)

いまこのフィルムを見たらどう思うのか。それを考えていると、どうにも堂々巡りになって、はじめて見たときと同じだったらどうしようとか、いやいや、50年も前の印象などあてにならないから、など、いろいろ考えて夜も眠れなくなる。しかしいまどう聴こえるかが問題なのだから、聴く前になにをいっても意味がない。
これを作った30歳あたりから10年くらいが一番仕事をしていた時代だ。大きな編成の仕事もずいぶんしたような気がする。ナショナルテクニクスのCM(FM)では、20分くらいの小組曲を作ったし、朝絋太郎(武田和命がいたソウルフル・ブラッズのvocal)にパナステイト! と絶叫させるCMも作った。そう、ナショナルのCMはずいぶん作ったのだ。大きな編成で実際に音を出せる機会などあまりなかったからいい経験だった。

もうすぐDVDのファイルが上がってくる!

京都in京都(4)

先日、神戸のビッグアップルに行ったとき、岩宮さんのお嬢さんと作品を管理している近藤宏樹さんにお会いした。わざわざライブにきてくれたのだ。
その近藤さんが京都in京都のフィルムを送ってくださった。村上さんのところで見つかったマザーテープがいろんな人との縁で、本体、というか本物が現実に見られるようになるなんて夢のようだ。
フィルムでは手軽に見ることはできないから、いまDVDのファイルにしてもらっている。もうすぐ見られる。またどきどきしている。
近藤さんと話していたら、橿原の神田さんが主催してくれたsoloコンサートのとき写真を撮ってくれたカメラマンが近藤さんだとわかった。忘れていて失礼しました。しかし縁がつづくなあ。
いま、まだ連絡が取れないのは演出、アニメーションなどをしてくれた渡辺泰治さんだ。どこでどうしておられるのか。

p.s. いろいろな作業はデザイナーの沢田節子さん、林泉(株)の渡辺徹さんと進めています。

京都in京都(3)

50年前に作った曲を聴くなんてことはそんなにない。もちろんどんな曲を作ったかなどすっかり忘れていて、想像だけが(相当に)膨らんでいたから聴いたときは、呆気にとられた。曲らしきものが20分くらい流れる。メロディーはほとんどない。fluteのsolo、忘れた頃に鳴る管のサウンド、猫が手で弾いているようなピアノ、それらが繰り返し現れ、そして終わる。
なんだこれ。う〜ん、なにを思って作ったのだろう。若気の至りという言葉も思い浮かぶ。よくこんなことをやらせてくれたもんだ。
全編に流れるfluteのsoloは宮沢昭さんに違いない。後のメンバーはわからないけれどその頃のスタジオミュージシャンでは最強だ。いずれにしてもテンポがあるんだかないんだか(あるに決まってるが)わからない音楽で、これだけ聴いていたらなにがなんだかわからない。気取っていえば、京都のなにか一瞬を切り取ったような音楽だ。

編成は思ったより少なかった。12、3人というところか。ギル・エバンスのサウンドは聴こえてこなかった。猫の手のピアノは自分だろう。指揮は誰だかわからないけれど、そのころよく頼んでいた中谷勝昭さんかも知れない。

京都in京都(2)

岩宮武二さんのことはこの仕事をするまで知らなかった。渡辺さんか村上さんが教えてくれたんだと思う。写真集を見た。すばらしい写真だった。品格があるといったらいいのか。これに音楽を付けるのは難しそうだなと思った。しかし作編曲の仕事をはじめて2年ちょっと、怖いものなしの頃だったし、ちょっと図々しくもなっていた。楽しんでやる余裕はなかったけれど夢中でやった。
どんな曲を書いたんだろう。ギル・エバンスが好きだったからそんなサウンドが頭にあったかも知れない。いや、そんなことはどうでもいい、それより前に書いた「いたらなさ」の説明をしなては。
なにしろ20分の映像のはじめから終わりまで切れ目なく音楽を書いてしまったのだ。録音しているときは映像は見ないし、いくつかの部分にわけて録っているからわからなかったけれど、でき上がって全部を見て聴いてみると必要以上に集中を要求されてもうへとへとになる。そんなことわかってたことじゃないか、といわれればその通りだけれど、わからなかったんだなあ。

編成は木管を含む20人弱のオーケストラ(弦楽器はいない)。ピアノは弾いているかどうかわからない。実は今日(7/4)の夜中、アケタの島田さんからファイルを受け取ることになっているのだ!

京都in京都(1)

3年近く前か、ずっと昔に作ってもう忘れかけていた音源のマザーテープが見つかったと聞いた。まだCMの仕事をはじめてまもない頃のもので、岩宮武二さんの写真を映像化した20分くらいの「京都in京都」という作品だ。映像化したのはその頃六本木にあったACAという会社で、写真のアニメーションは渡辺泰治さん、音楽プロデューサーは村上彰さんだった。できてすぐに上映会(試写会か)があって、それを見たときは自分のいたらなさにがっくりしたのを憶えている。そのマザーテープが村上彰さんのところにあった。しかし古いテープなのでちゃんと再生できるかどうかわからないので、知り合いに頼んで確認してもらう、という話があったきり、村上さんとは連絡が取れなくなった。半年ほど前、横浜のライブハウスでひさしぶりに会った岩崎さん(博報堂にいた)から村上さんが亡くなったと聞いた。信じられない。もっとも信頼していたCM音楽ディレクターだった。そうか「京都in京都」はもう聴けないのかと思った。
つい先日、Facebookの「ピアニスト渋谷毅」に桑原さんという人からそのテープを預かっているのでお返ししたいと連絡があった。村上さんが頼んだ知り合いに違いない!
 
無事にマザーテープが戻ってきた。本当は村上さんのところに戻るはずのものだけれど。早速アケタの店の島田さんに聴いてもらいファイルにしてもらうことにした。6mmテープ、モノーラル。録音は昭和44年、なんと50年前だ。テープの状態はよく音もよいという話。うれしい。でも、その頃どんな曲を書いたかまるで憶えていない。

松元龍宏さん

bassの松元龍宏さんが亡くなった。中山信一郎さんが作ってくれた最初のアルバム「dream」のベーシストが松元さんだった。知り合ったのは彼が東京に出てきたときで、なんどか演奏したけれど、鹿児島に帰ることになって、そのときいっしょに鹿児島にまで行ったのだった。中山さんにはそのときに知り合った。
10年以上経って(もっとか)、dreamの録音につき合ってもらった。drumsはやはり鹿児島の浜島純昭さん。ピアノは弾いていなかったからうまくできるわけがなく半年後にまた録音した。松元さんは相変わらずすばらしかった。

この5/10に、中山さんの三冊目の本が出るその出版記念のライブでしばらくぶりに演奏するはずだったけれど、コロナ騒ぎで中止になった。中止じゃなくて延期か、などと思っていたら鹿児島の森田孝一郎さんから訃報が届いた。なんということだ、これでdreamのメンバーはみんないなくなってしまった(二回目の録音に参加してくれた植松良高さんも5、6年前に亡くなった)。残っているのはジャケットを作ってくれた岩下壮一さんとぼくだけだ。
なんとも言葉がない。この騒ぎが収まったらすぐに鹿児島に行こう。

中山さんの新しい本

中山信一郎さんの新しい本が出版された。
泣き笑い「映画とジャズの極道日記」ワイズ出版(2020年4月30日発行)
中山信一郎・著  山田宏一、小野公宇一・編

山田宏一さんとの対談、白井佳夫さんのエッセイ、などなど。ほとんど映画の話題なのは当然で、中山さんはジャズを聴く前から映画に親しんでいたのがわかる。
ほんとはもっと早くでき上る予定で、出版記念のライブを鹿児島で、と森田孝一郎さんががんばってくれたけれど、そのうちコロナ騒ぎがはじまってそれどころではなくなった。残念。
まだちゃんと読んでないのでまた書きます。お知らせまで。

5月の連休には本屋さんにあるかも知れない。

今日は4月23日

緊急事態宣言は5月の連休終わりまでという話だけれど、とてもそこで終わりになるとは思えない。感染者は増えるばかりで、毎日のニュースはそればかりだから、といって、なにをどうすることもできないから、なんだか無駄な時間が過ぎて行くだけの気がしてくる。こんなときはどうしたらいいんだろう。若い頃ならそう思っても、なんだかんだとやることがあったものだけれど、この歳になれば、と急に気がついてもなにも思い浮かばない。ただじっと時が過ぎて行くのを見てるだけだ。
ライブは5/8のエアジンから再開と決めていたけれど、どうも無理そうな気がする。先のことがまったくわからない。わかってもわからなくても大変ということだけはわかっている。