3年近く前か、ずっと昔に作ってもう忘れかけていた音源のマザーテープが見つかったと聞いた。まだCMの仕事をはじめてまもない頃のもので、岩宮武二さんの写真を映像化した20分くらいの「京都in京都」という作品だ。映像化したのはその頃六本木にあったACAという会社で、写真のアニメーションは渡辺泰治さん、音楽プロデューサーは村上彰さんだった。できてすぐに上映会(試写会か)があって、それを見たときは自分のいたらなさにがっくりしたのを憶えている。そのマザーテープが村上彰さんのところにあった。しかし古いテープなのでちゃんと再生できるかどうかわからないので、知り合いに頼んで確認してもらう、という話があったきり、村上さんとは連絡が取れなくなった。半年ほど前、横浜のライブハウスでひさしぶりに会った岩崎さん(博報堂にいた)から村上さんが亡くなったと聞いた。信じられない。もっとも信頼していたCM音楽ディレクターだった。そうか「京都in京都」はもう聴けないのかと思った。
つい先日、Facebookの「ピアニスト渋谷毅」に桑原さんという人からそのテープを預かっているのでお返ししたいと連絡があった。村上さんが頼んだ知り合いに違いない!
無事にマザーテープが戻ってきた。本当は村上さんのところに戻るはずのものだけれど。早速アケタの店の島田さんに聴いてもらいファイルにしてもらうことにした。6mmテープ、モノーラル。録音は昭和44年、なんと50年前だ。テープの状態はよく音もよいという話。うれしい。でも、その頃どんな曲を書いたかまるで憶えていない。